先輩インタビュー

うどん店「美路久(みろく)」を通じて“誰かが喜んでくれる場”を作りたい。

うどん店「美路久(みろく)」を通じて“誰かが喜んでくれる場”を作りたい。

Profile

川波暁夫さん(41歳)
川波光枝さん(41歳)

「心の豊かさ」を求めて地方移住を決意。

愛犬とともに田舎暮らしをしたいーー。それが鉾田移住のきっかけとなった川波夫妻。

二人とも東京出身ですが、暁夫さんのご両親が10年前に鉾田に移住したことを機に、頻繁に訪れるようになりました。そのうち田舎暮らしへの想いが少しずつ募っていったそうです。

以前はそば・うどん店を営むご両親のもと、暁夫さんは両親のお店で修行を積んでいました。その後ガラス細工職人として世界を飛び回っていましたが、我が子同然であった愛犬が病気がちになったことが移住の後押しに。「限りある命ですから、自然が豊かな場所で過ごさせてあげたかった。そこで日本に活動の拠点を移しました」と暁夫さん。

一方の光枝さんは、東京ではヨガのフリーインストラクターとして働き、スタジオなどでヨガを教えていました。光枝さんは、当初移住を考えていなかったものの「このまま東京にいても“心の豊かさ”が感じられない。歩けなくなった愛犬だって、コンクリートを見ているのと自然を見ているとでは、気持ちが全然違うはず!」との暁夫さんの言葉に影響を受け、地方移住を検討し始めました。

暁夫さんは、熊本の阿蘇などの山深い場所も候補地に考えていましたが「なんでお母さんたちがいる茨城に行かないの?」という妻の“鶴の一声”で、鉾田に移住を決めたのです。

地方ならではの課題に直面し、
街を盛り上げたいという気持ちに。

移住後の2年間は、夫妻で地域を知るための仕事に就いたそう。「たとえお給料が少なくても、東京では体験できなさそうなことをやりたかったのです」と語る暁夫さんは、介護や浄化槽点検など、地元密着の仕事を4つほど経験しました。

鉾田への想いが特に強まったのは、介護の仕事を経験したとき。鉾田は“若者が外に出たがる街”と聞いたことが発端でした。「このままではどんどん人が出て行ってしまう……。鉾田が抱える課題に気づいてからは、街に貢献がしたいと考えました。自分が持つスキルを“うどん店”に集約し、お店を通じて地域を盛り上げたかったのです」という暁夫さんの想いを受け、光枝さんも飲食店で修行を開始。うどん店オープンに向けて共に動いていきました。

そして2020年7月、あえて繁華街ではない、若者がいなさそうな場所(鉾田市汲上)で、うどん店「美路久」をオープンしました。店名の由来は弥勒菩薩の“弥勒”(みろく)です。

日光を浴び、美味しいものを食べる。
それが“外に出る理由”になればいい。

「うどんであれば、お年寄りの人たちも気兼ねなく食べられます。地元の農家さんと連携し、仕入れた素材で作った料理を食べて誰かが喜んでくれる、それが僕たちの作る活力になる。というポジティブな循環を作りたいのです」と暁夫さん。店内にはガラス細工職人でもある暁夫さんの作品が置かれ、くつろぎやすい空間に。「介護を受けているお年寄りが外に出る機会を作りたかった」のもお店の目的の1つだったため、車いすでの入店が可能な大きな店にしました。

光枝さんの夢は鉾田に“外食文化”を作ること。「外で食べたいけど選択肢が少ない」という声を聞き、外食をする楽しさを知ってほしい、外食をすることで気持ちが前向きになれるようなお店を作りたい、と思うようにもなったそうです。

「美路久」の定番メニューは、肉汁つけうどん(冷たい麺)。暁夫さんのご両親から受け継ぎ進化させた“細麺の讃岐うどん”の打ち方で、コシのあるうどんを提供しています。出汁は、透明でさっぱりとした関西風。地元の野菜をつかった天ぷらなど、季節のメニューもおすすめです。味の評判も良いようです。

オープンから間も無く8ヶ月。地元のお年寄りだけでなく、「美路久」を目指して県外からもお客さんが集まる人気店になりつつあります。「始めたからにはしっかりと根を張って、地元密着の店に成長させたい」と川波さん夫妻は、鉾田での未来を見据えます。

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